債権の貸倒処理

債権の貸倒処理

[カテゴリ] 法人税
[更新日] 2019/8/20
[投稿者] 所長
債権が回収されないとき、貸倒処理をして税務上損金算入することが可能です。ただし、法人税基本通達でも限定されており基本通達は税務署の社内通達といいながらもこれについては実務でもルール化されていますので参考にできます。法人税基本通達では、9-6-1、9-6-2、9-6-3で規定されています。

9-6-1は、金銭債権の全部または一部の切り捨てした場合の貸倒れについてです。法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして「損金の額に算入」します。
(1)更生計画認可の決定または再生計画認可の決定・・・
これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(2)特別清算に係る協定の認可の決定があった場合・・・
この決定により切り捨てられることとなった部分の金額
(3)法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定・・・
次に掲げるものにより切り捨てられることとなつた部分の金額
  1. 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの

  2. 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容が1.に準ずるもの

(4)債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合・・・
その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額

9-6-2は、法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができます。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできません。
保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にすることはできないことに留意する必要があります。

9-6-3 は、債務者について次に掲げる事実が発生した場合に、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含みません。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、認められます。
(1)債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2)法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき。

なお、(1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいいますので、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はありません。

9-6-1は、損金算入の必要がありません。すなわち、会計上の費用処理(損金経理)しなくても、税務申告書で別表四で減算処理が可能となります。9-6-2、9-6-3は、会計上でも損金経理が必要です。

また、9-6-2は、「債務者の資産状況、支払能力等」からみてとなっていますが、要件としてはあいまいのため、この規定に合致しているのではないかという状況はよくありますが、安易にこの規定を利用すると否認されるリスクは高くなります。
具体的には、昭和42年の改正前の規定を参考にすると以下の状況が考えられます。
1.破産破産・和議
2.強制執行・資産の整理
3.死亡・行方不明
4.債務超過の状況が相当期間継続し事業再起の見透しがないこと
5.天災事故、経済事情の急変等の事実が発生したため回収の見込がない場合
ただし、基準として厳格すぎるということで「債務者の資産状況,支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになつた場合」となっています。したがって、少なくとも列挙した要件に該当する場合は、該当すると考えられます。

貸倒処理は、金額が大きくなる可能性が高く、躊躇する事もありますが、通達にも明確に記載されていますので該当するのであれば、適時に損金算入しましょう。その前提として、日頃から債権の回収の努力を怠らないこと(督促や決算書の入手など)が大事であり、債権管理をしていく必要があります。
そうしないと形だけのものになり、否認される可能性も高くなります。
 
※コラムと同様な手法が可能かどうかは、お客様の状況、その時点での法令等によって異なる場合があります。 弊所との契約をに基づいて実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、弊所では一切責任を負いかねますのでご了承ください。
 
コラムカテゴリー
法人税(23)
所得税(10)
会計(1)
コラム投稿者
全て(83)
所長(66)
職員(17)
(0)
(0)